それに思い当たったと同時に、頭の中で、何かが弾けるような音がした。

ずっとこびりついて離れなかった白い靄が、さあっと晴れていく。


ああ、思い出せる。


そう思ったのも束の間、突然、頭が割れるように激しく痛み始めた。


「う……痛……」


私は小さく呻き、よろりと立ち上がってリビングを出て、階段を上る。


自分の部屋までたどり着く間にも、頭痛はどんどんひどくなった。

締めつけられるような痛みだ。


耳の中に鼓動の音がこだまして、耳鳴りがした。


せっかく晴れかけた靄が全て戻ってきてしまった。


部屋のドアを開け、這いずるようにしてクローゼットの中の箱を取り出す。

蓋を開けると、さらに痛みが強くなった。


息をするのさえも苦しい。

でも、私は手を止めなかった。


中身を取り出していく。

前に思い出せなかった物たち。


三冊しかない日記帳。

三冊目の最後の日付は、一昨年の十一月。


痛む頭で必死に考えを巡らせて、私は唐突に思いついた。


自分の部屋を飛び出して、奥の部屋へと向かう。


そこは、お母さんが使っていた部屋。

今でも机や棚や箪笥がそのままで残っていて、家族の思い出の品、写真のアルバムなどが置いてあった。


箪笥の引き出しを次々に開けていき、そして、とうとう見つけた。

四冊目の日記帳。