「ねえねえ、いいこと思いつた! せっかくだからさ、みんなで十字架に願いごとしてみようよ」


梨花ちゃんが目を輝かせて言った。


「それでさ、もし誰かの願いが叶ったら、この七不思議が本当ってことになるじゃん」

「おー、いいな、それ。じゃ、やってみるか」


嵐くんが頷き、梨花ちゃんの横に移動する。

二人は十字架の前に並んで立ち、胸の前で手を組んだ。


「願いごとってさ、いくつまでオーケーかな?」


梨花ちゃんが言うと、嵐くんが「そりゃ、一つだろ」と笑った。


「この噂教えてくれたおばちゃんが言ってたけど、願いごとは一つまで。たった一つ、どうしても叶えてほしい願いを十字架の前で念じると、神様が叶えてくれるんだって」

「へえ。でも、たった一つしかだめなんだ。けちくさいなあ。三つくらい叶えてくれたっていいのに」


梨花ちゃんがおどけて肩をすくめると、嵐くんは「神様がけちくさいんじゃなくて、梨花が欲張りなんだろ」と笑った。


「たった一つだとしても、必死で祈ったら願いを叶えてくれるっていうんだから、なんて寛大な神様! って感謝しないと」

「それもそうだね。お優しい神様、どうかお願いします!」


梨花ちゃんが顔の前でぱんっと両手を合わせる。

すると、嵐くんが「あ、そういえば」と何かを思い出したように声をあげた。