「沙都子さんだけですよ。俺の本性を知って、死ぬほど嫌悪してくれるのは」


「嫌われたいの?Sかと思ってたら、Mなんだね」


「Mでしょうね。あなたに嫌いと言われるほど、燃えるんですから」


そう言って、葦原くんは私の唇に触れるだけのキスを落とした。

その感触を心地よく思っている場合ではない。
くだらない小競り合いはやめよう。
いつ、葦原くんのファンである笠井さん一派に見つかるとも限らない。


「葦原くんほど嫌な男、見たことないよ」


私は彼の身体を押しのけるように、給湯室を出た。