「簡単に言うけど、私だって人並みに羞恥心があるよ」


「そうですか?いつも羞恥心とは対極の姿を見てるからかな」


私の言葉に皮肉で返す葦原くんは、はっきりと言っている。

私たちの関係は明日で終わりにできると。

これは、彼の言うところの『飽きた』になるのだろうか。

なぜだろう。急に心臓がどかどかと鳴り響きだした。
手を離されそうになっていることに慌てているの?
あれほど望んでいたのに。

いまだに葦原五弦には怒りと憎しみしかないはずだ。


「葦原くんが私の写真を目の前で消してくれたら、安心して離れられるんだけど」


気付いたら、そんなことを言っていた。

何を言っているのだろう。
これじゃ、遠回しに身体の関係は続けたいと言ってるみたいじゃない?

葦原くんは私の困惑を知ってか知らずか、肩を竦めて嘲笑を浮かべる。


「今、目の前で消してもいいですが、俺のPCにコピーしてあるんですよね。残念でした」


「あなた、最低」