未來さんと佐賀さんが私を見てニヤニヤしている。
午前中のオフィス、現在仕事中だ。
私は顔をあげて、困ったふたり組に言う。
「さっきから何なんですか?もう」
「なんでもなーい」
未來さんが小学生のように答えて、また佐賀さんに書類を見せてはニヤニヤしている。
仕事しなさい、あんたたち。
……とは、キャラ的に言わないでおく。
未來さんのお式は明日に迫っている。こんな日くらい有休を使えばいいのに、お式の後たくさん休むからと、未來さんは出社している。
少し前から佐賀さんと悪だくみして遊んでいるけれど。
「沙都子、ドレス何色?」
未來さんが性懲りもなく聞いてきて、横から佐賀さんが口を挟む。
「黒です。一緒に買いに行ったんで間違いないです」
「えー、地味―」
「私が主役はじゃないので地味でいいんですよ。あと、佐賀さん、メールきてるみたいだけど」
余計な事言って、未來さんと遊んでないの。……という意味で言ったんだけど、無邪気なイマドキ女子には通じない。
「あ、急ぎじゃないんでー」