「んっ、んぅ……なに……それ……」


返事ができないくらい、激しく唇を奪われ続ける。
身体の奥が潤んでくるのを感じた。恥ずかしいことに、私の身体は彼のキスですでに準備を始めている。これから起こるであろう行為の。


葦原くんが唇を離し、間近く私を見下ろす。
私の首筋に手をのばすと、ヘアクリップで束ねていた髪をほどいた。

上気した頰になぜか高揚を感じてしまう。
ああ、彼は私が欲しいんだ。確かに自分のものであると、今すぐに確認したいんだ。


「あなたに自由なんかあげない。俺の綺麗な人形なんだから、主人にだけ笑えばいい。鎌田部長にも、本当は近づかせたくないんです。閉じ込めておきたい」


「そんなの……いや。おかしいよ」


「沙都子さんは自覚がないようですけど、愚かしいほどに隙だらけなんですよ。すぐに肉食獣にやられてしまう。俺の庇護下に入れば安全だと思いますが」


「葦原くんが一番、肉食獣じゃない。害獣だよ」


「じゃあ、その害獣に犯されて狂うまで喘いでください」


葦原くんは私を抱き寄せ、再び唇をふさいできた。
熱い。触れたところから溶岩のように融解しそう。

左手の指が私の項をたどり、ひと房の髪をもてあそぶ。それだけでぞくりと腰がざわめく。髪の毛一本一本にまで神経が通っているみたい。