私と葦原くんの関係は続いている。
そろそろひと月になる。

週に2日ほど呼び出され、彼の部屋で抱かれる。
朝までのこともあれば、終電で返してくれることもある。金曜の夜に呼ばれれば、土曜の夕方まで離してくれないこともある。

食事をともに摂ることもなく、優しい会話もない。
ただ、一方的に私が捕食されるだけだ。


このひと月でわかったことがあるとしたら、心と身体は別ということ。

最初こそは、彼に抱かれるたび、涙と吐き気が止まらなかった。
こんな遊びに飽きてほしくて、反抗的に無視してみたり、ベッドの上でも自らは何もしないなんてこともあった。

すぐに逆効果だとわかった。
葦原くんの征服欲を逆撫でするせいか、手ひどく抱かれ、言葉で責められる。
そうすると身も心もボロボロだ。

私は反抗をやめた。
無気力なくせに自己保全の気持ちばかり強くて笑ってしまう。
彼の望むままにおとなしく抱かれるのが最近の私。
早く終われと心の中で念じながら。

ただ名前では呼ばない。
そして心からの心酔はあげない。