朝までオフィスのデスクで眠り、始発と同時に帰宅した。シャワーを浴び、着替えて再び電車に乗る。
ぐったりと疲れていた。

身体が指一本一本までくたびれている。あちこち筋肉痛だし、あまり寝てないせいもあり眠い。
早く、今日が終わらないかな。
会社に到着したものの、始業時刻からそんなことを思う。

重たい身体と頭に鞭打って、来ていたメールの返信から始めると、甲高い声がオフィスに響いた。


「葦原くん、この前頼んだのもう終わったの?すごーい!」


私が顔を向けると、笠井さんが葦原くんを褒めちぎっているのが見えた。


「いやぁ、笠井さんが素材を作っておいてくれたんで、後は早かったですよ。仕上げの美味しいとこだけもらっちゃってすみません」


笠井さんは私より二つ下。
結構わかりやすく葦原くんを狙っていて、笠井さんと仲のいい女子はそれを後押ししつつ、隙あらば自分も仲良くなっておこうといった雰囲気。

葦原くんは人の良い笑顔で笠井さんを見下ろしている。子犬みたいに善良で、人懐っこい笑顔だ。
ゆうべは鬼畜としか言いようがない笑顔だったのに。