葦原くんがぴくりと眉を震わせる。
私は顔をあげ、ぎっと彼を睨みつけ叫んだ。


「大嫌い、あなたなんか」


「それはそれは、光栄ですね」


葦原くんはせせら笑うように言うと、私を置き去りに寝室を出て行った。

私は床に散らばった服を手早く身に着けると、リビングを走って通り抜け、肌寒い秋の夜空の下に飛び出した。

最低だ。
最低な男。
あんな男にこれからも抱かれ続けなければならないなんて。

私はオフィスに向かって、歩き続けた。
寒々しい月が私を見下ろしていた。