「わかりますよ。結構、あなたのこと見てましたから。男性経験ゼロ、恋愛経験すらゼロ。案外、鎌田部長への淡い同性愛が初恋なんじゃないですか?」


「……悪い?……処女が重たいなら止めてもいいけど」


私が開き直って冷たく睨むと、葦原くんはいよいよ可笑しそうに笑った。


「いえ、やめません。あなたの処女は俺がいただきます。残念ながら、優しくしてあげるとは言えませんけどね。俺、あなたの無表情が歪むところが見たいんです。たっぷり痛がってもらった方が盛り上がるかな」


「……最低な趣味。会社の人たち、葦原くんがそんな男だなんて、誰も知らないね」


「そうです。俺、そのあたりが本当に上手いんですよ。……九重さん、いや沙都子さん、あなただけです。俺の本性に気付いて、冷ややかな目で見ていたのは」


葦原くんが私を名前で呼んだ。

それから、再び唇が重なる。
唇同士が触れ合い、合わさり、柔らかく包まれる。唇から伝わる感触は思いの外心地よい。
すぐに熱い舌が侵入してきた。