「あー、つまりは再来週の私の8歳のバースデーも、月末の運動会も、日本にはいないってことだね。それだよ、そのせいでお母さん、私に言わなかったんだ。ばかばかー」


私は恨み節を口にしながら、彼を睨む。


「ところで、お母さんいないんで。呼び方変えるよ、“お父さん”」


「はい、どうぞ」


「国外家出中お父さん」


「きみの相手によって態度変えるところは、本当に誰に似ちゃったんだかなぁ」


お父さんは、私の後に続いて廊下を歩きながら笑ってため息をついた。

私の性格?お父さんに決まってるじゃん。
お母さんはしょっちゅうそう言ってる。

『その口調、葦原のおじさんそっくりよ。やめて』って。


私・九重清子と、お母さん、そしてこの葦原五弦というお父さん。

ちょっと変わったスタイルだけど、私たちは一応家族だ。






【家族未満】