腕を回し、彼の腰に巻き付ける。
彼の胸板に頬を摺り寄せ、勇気を出して舌を伸ばした。
素肌はお湯で濡れていたけれど、葦原くんの味がした。


「悪戯ですか?」


「そう。ねえ、舌出して」


私は彼を見上げ、命令する。
葦原くんはまだ困惑している様子だけど、面白いとも思っているようで、おとなしく舌を出す。

私は背伸びして、彼の舌先を唇で包んだ。上唇も、下唇も、丹念に唇で触れていく。それから、薄く開いた彼の口全体を、舌を絡ませながら犯した。


「ん……、……さと……こさん」


「……だめ……、勝手に……動かさないで……っん」


シャワーの音が響く中、夢中で彼の唇を支配し続けた。
私の強引なキスに応えてくれる葦原くんが愛しい。息つく暇もなく絡ませ合った舌が、互いの脳髄をとろけさせる。

やがて、彼がユニットバスの縁に腰を下ろした。私は息を弾ませながら唇を一度離し、彼を見下ろす格好になる。


「とんでもないソープ嬢に当たっちゃったな」


葦原くんが嘲るような、悔しいような口調で言う。にっと微笑んだ頬は上気していて、彼の身体が十分に反応していることは、一目瞭然。