ああ、このまま今日は強引に抱かれるのだ。
そういう日だ。

おとなしくしていよう。
なるべく従順に、彼のなすがままになろう。

彼が支配者モードのセックスは時にサディスティックだ。深く挿入され、痛くても抽送を止めてはもらえないし、言葉責めは自分が淫乱な娼婦にでもなった気分になる。
噛み痕のようなキスマークをつけられたことも一度や二度ではない。


ひどいセックスは、嫌いではない。
そもそもの始まりが強引だったから。

でも、私が嫌なのは、すべて終わった後に葦原くんが塞いでしまうことだ。

私を置き去りにひとりソファでひざを抱えて寝てしまう葦原くんは、見ていられないほど悲しい。

彼は自分の征服欲で私を圧倒することに、罪悪感を覚え始めている。

そんな様子が私の目にも明らかになってきた。


ふと、葦原くんが私の耳朶から唇を離した。

突然去って行った温度に驚いて彼を見るけれど、葦原くんは目をそらすだけ。

酔眼にはすでに後悔がよぎっている。


「その気がなくなりました。先に寝ていいですよ。俺はシャワーに行ってきます」