彼女は部長だ。そして、私を大事な妹分だと思ってくれている。
私の不利益を排除しようとしたなんてこと……。

いや、まさか。
そんなことがあるはずない。

未來さんはフェアだ。
正しいことを正しいと言える人だ。
間違っていれば、はっきり否定できる人だ。

そんな公明正大な人が懇意の部下ひとりのために、人事に口出しをするとは思えない。

私の気のせいならいい。

そう思いながら、過ごす。




『今日は外出先から直帰です。19時半には帰れます』


葦原くんからそんなLINEが入ったのは昼過ぎだ。
私は佐賀さんとランチを済ませ、片付けをしているところだった。


「葦原ですか?もう、どんだけ仲良しなんですか」


佐賀さんは私が携帯を眺めて微笑むのを見たようだ。
恥ずかしさから頬が熱くなるのを感じつつ、佐賀さんを見やる。


「普通だよ。普通」