「やめて、あなたと生涯を誓うなんてぞっとする」


「はは、これは正解みたいだな。まあ、いいんです。まだ当分あなたは俺のものだ。俺はあなたが逃げる気を無くすまで、ありとあらゆる手であなたを拘束します。それから捨ててみたっていい。婚姻届を差し出すかもしれません。なんでもいいんです。俺の目的は、あなたの涼しい顔が歪むのを見たいってだけですから」


悪魔は楽しそうに笑った。
その笑顔を虚ろに見つめながら、私はそれもいいかもしれないと思っていた。

悪魔に狂わされた人生も面白いかもしれない。

私の人生には、何事も起こらない予定だった。
それは私が望んだことだ。
だけど、『何か』は意図せず起こった。

真っ白な紙に墨をこぼされるのは、傍からみたら無残かもしれない。
でも、私は白の白さにどこかで飽きていた。疲れていた。

いっそ、この汚濁を受け入れたってかまわない。

葦原くんに執着され続けたい。
今の望みはそれだけだ。