結局その日の昼休みは外出した。別々にオフィスを出て、外で待ち合わせる。

時間もあまりないので、軽く済ませようと私たちはベーグルサンドのお店に入った。


朝から一連の騒ぎが続き、ようやく社外に出られたことに安堵する。
この数ヶ月は今までにないことばかりが起こって、私の平安は脅かされっぱなしだ。


「ねえ、いいの?」


ハーフサイズのベーグルサンドを手に、私は葦原くんの顔を見つめる。


「『私なんかと噂になっていいの?』って言いたいんですか?卑屈ですね、相変わらず」


葦原くんはベーグルサンドをひとつと、チーズベーグルをトレーに乗せ、コーヒーを飲んでいる。
さっきまでの子犬仮面はどこかへ引っ込み、いつもの冷たい表情の葦原くんだ。


「答えはイエスです。俺とあなたがヤリまくってるのは事実ですし、これで堂々と一緒に歩けるじゃないですか」


「でも……葦原くんが飽きるまでっていう約束で……、その……」


関係解消後は、どうするつもりなのだろう。そのことがうまく言葉にできない。