「葦原くん、シャワー、浴びたい」


「許可しません」


葦原くんが私を突き飛ばすようにベッドに押し倒す。
覆いかぶさってくる彼の身体に、私はためらうことなく腕を回した。

葦原くんは少し驚いたようだ。
従順に抱かれることはあっても、自ら彼の身体を引き寄せたのは初めてだったから。

また涙が溢れてきた。
それは、失恋の痛みではなく、途方もない安堵からだった。

ああ、この苦しみは間もなく跡形もなく消える。
次に目が覚めたとき、わたしの傷にはかさぶたができているだろうか。


「泣くあなたは綺麗です。ほら、泣きながらねだって」


「あし……はらくん……、して。……してください」


「どうしてほしいの?」


「気持ちよくして……痛くないように……全部ふさいで……」


心も身体も、あなたで栓をして。
その熱で消炭になってしまってもいい。