ああ、だけど苦しい。

胸がやぶれて真赤な血が床に滴り落ちる。
あなたに恋した私は今、ここで死にました。


「あ……りがと……ございます……」


司会者の女性から向けられたマイクに向かって精一杯声を絞り出す。

しかし、そこから先は声にならなかった。

私は恥ずかしいことに、ブーケに顔をうずめ泣き崩れてしまった。


「九重さん、戻りましょ」


佐賀さんが迎えにきてくれ、まともに歩けない私を支えて席まで誘導してくれる。
傍からみたら私は、上司である新婦に厚情を賜り、感極まってしまった女性部下といった風に見えただろう。

だけど、私は嬉し泣きなんかしていなかった。
もらったブーケが重くて、棘だらけで、泣いていた。
痛すぎる失恋の苦痛に泣いていた。

未來さんがお嫁に行ってしまった。

私の恋はとうとう死んでしまった。