クラスメイト全員が、クローンのように眉をひそめてうつむいた。

「空野はみんなの想いを実行に移してくれたんだ。彼女を守るには、本当のことを教えられない。やさしい性格でウソがつけない空野は、きっとすぐに自白してしまうからな。精神がおかしいと思わせるしかないんだよ」

千尋が後ろを振りかえる。

「瑠衣、あの薬の袋だけどね」

「わかってる。偽造だとバレないうちに回収しておく。携帯の写真とかアドレスも、もう1回チェックしてみる」

「お願いね」

山本先生がまた教壇に戻ってくると、大きく息をついた。

「さぁ、ここからだ。もうすぐ吉沢の失踪が公になるはずだ。父親か母親が学校に来るだろうし、警察も動き出す。作戦通りでいけるな?」