「やめてよ……」

そう言いながら首を横に振るけれど、瑠衣は悲しみ笑いのまま。

「お母さんには内緒なんだよ。私と心だけの秘密。ほら、昨日も病院に行ったでしょう? カバンに薬が入ってるよ」


始業のチャイムの音。


「とにかく落ち着いて。大丈夫だから」

小さく言った瑠衣が自分の席につく。

血の気が引くとは、このことかも。

そうとうひどい顔していたのだろう、哲生が「大丈夫か?」と、たずねてくれるけれどなにも答えられないまま、あたしは力なく椅子に座った。