「怖がるって?」

瑠衣が席につくと、きょとんとあたしを見あげた。

「お父さんが県議会の人とかで、いつも権力を振りかざすっていうか……」

「あはは。なにそれ。梨花はいつもいじめられて泣いてたでしょう?」

「え?」

「だから来なくなったんだよ。覚えてないの?」

「……」


キョトンとするあたしを見て、瑠衣は「ひょっとして」とつぶやいた、


両手であたしの手を持つ。



その目が悲しさをたたえている。