【PM13:10】


音楽の授業がはじまっても、胸はざわざわと落ち着かないまま。

合唱するみんなの声も耳に届かないまま、見つめるのはさっき梨花が倒れていた場所。

死体がそこにあったことなんて気づかずに、音楽の先生はピアノを気持ちよさそうに弾いている。


考えれば考えるほど不自然すぎる。


なんでみんな梨花のこと覚えていないの?


まるでそんな人いなかったみたいにしているの?


一瞬、「夢かな?」と思ったけれど、今こうしてぼんやりと音楽室の椅子に腰かけているのはまぎれもない現実だということを、あたしは知っている。