「だって、ここは梨花の……」

言いかけたあたしは教室を見回して気づく。

梨花の席がなくなった分だけ、千尋の列はひとつ机が足りない。

「梨花、って?」

もう、このセリフはいい!

無性にイライラしながらも、あたしは思いつく。

「そうだ。今日の日直って誰?」


たしか、梨花だったはず。


そんなあたしに千尋は、
「私だけど」
と、肩をすくめた。