その声に答えたのは、哲生がいつもつるんでいる浩一郎。

ひょいと哲生の肩越しに顔を出してあたしに言う。

「だれだよ、その吉沢梨花って」

「あ……」

「アイドルかなんか?」

哲生も不思議そうに目を丸くした。


なにこれ……。


なんでさっきから誰も、梨花のことを忘れたかのような……。

この1時間の展開が早すぎてついていけない。

ふと、梨花の席が目に入った。

だけど、そこに座っているのは千尋。

三つ編みのクラス委員だ。