「感想を聞かせてよ。私を出し抜いて気持ちよかったの?」

もう、梨花は笑っていなかった。

憎々しげな顔をしてあたしをにらみつけてくる。

「ち、違う……。たまたま、清少納言の本を読んだことがあっただけで……」


そうだった。


先日、図書室で会った山本先生がすすめてくれた本。

だからあたしだけ答えがわかったんだ

「ふざけんなよ!」

あたしの声は梨花の怒号にかき消された。

右足がアップになったかと思うと、お腹に激痛が走り「グフッ」聞いたことのない声が口から出た。


足で蹴られたんだとわかったのは、床に広がる自分のよだれを見てからだった。