窓のない音楽室の薄暗い中、梨花はものすごく怖く見えた。


右腕が痛い。


きっと倒れたときにぶつけたんだ。

「ねぇ、心」

やさしい声であたしの名を呼びながら、目の前に梨花はしゃがんだ。

「な……なに?」

声が震えていた。

「さっき、気持ちよかったでしょう?」

少し目を開いてにっこり笑う。


さっき、って……なにを言っているの?



言われている意味が理解できない。