カギを抜き取ると、
「扉開けてみて」
と、静かな声が耳元でした。

「……」

黙ったまま、扉をガラララと横に開く。

「これでいい?」

そう言って振り向こうとしたとたん、両手で力いっぱい背中を押されたあたしは、
「キャ」
短く叫びながら音楽室の中へ転がった。

なにが起こったのかわからずに倒れたまま振り返ると、後ろ手で扉を閉めて立っている梨花が笑みを顔に浮かべたままあたしを見おろしている。