「私、今日ね日直なの」

なんでもないような口調で梨花はそう言った。

「うん」

「次の授業は、音楽でしょう?」

大きな瞳であたしをのぞきこむように見る梨花は、まだ笑っている。

「……音楽? そうでしたか?」

「やだ」

声をあげて笑った梨花は、
「なんで敬語なの? おかしい」
上品に片手を口に当てている。