「心、ナイス!」

ぽん、と頭に手を置かれて左を見ると、哲生が満面の笑みであたしを見ている。

少し胸がドキッとしたけど、なんとか表情には出さずに、
「感謝しなさいよ。ねぼすけ哲生」
と、どや顔をしてやった。

「はは、バレてたか」

そう言って笑う哲生は、いつものようにあたしの髪をくしゃくしゃとさわる。



彼の悪ふざけにあたしはうれしくなり、そして悲しくなる。



だって、哲生はあたしの気持ちなんて全然知らないから。