「それじゃあ今日はここまで」

バタンと教科書を閉じた山本先生が宣言するのと同時に、教室を支配していた緊張が一気にとけるのを感じた。


よかった……。


かなり緊張していたのか、あたしは大きく息を吐いた。

「すごいじゃん、心」

声に顔をあげると瑠衣があたしの顔をのぞきこんではしゃぐ声をあげた。

「へへ。なんとか答えれた~」

小柄な瑠衣は、笑うと中学生みたいに見える。

実際、よく間違えられるらしいけど。