ーーーそうだ。


夢を見られるのは、俺たちの特権。



とても幸運で、恵まれたこと。


とても尊いことだ。




世界には、今も、夢さえ見られない子供たちがいる。



だからこそ、俺たちは夢を見て、その夢を叶えるために、諦めずに努力しつづける義務がある。




「………俺は、サッカーがしたい。


今は、一時間でも一分でも長く、サッカーの練習をしていたい。


だからーーー塾に行くのは………嫌だ」




俺はまっすぐに顔を上げて、父さんと母さんをゆっくりと交互に見つめた。




「父さん、母さん、お願いです。


俺にサッカーをする時間を下さい。


俺、簡単に夢を諦めたりしたくないんだ。

もっともっと練習して、もっともっと上手くなるから………。


お願いします」




俺はテーブルに両手をついて、頭を下げた。



親にこんなことをするのなんて、初めてだった。