俺は反論しようと口を開いた。



そのとき、玄関のドアが開く音がして、父さんが会社から帰って来た。




「ただいま」



「………おかえり」




リビングに入ってきた父さんは、硬い表情で向かい合って座る俺と母さんを見て、話の内容に勘付いたらしかった。




「あの話か?」



「ええ………」



「そうか」




父さんは頷いて、母さんの隣に座った。



ネクタイを緩めながら、「涼」と俺に声をかける。



俺は静かに父さんに目を向けた。




「塾のことは聞いただろ?

とりあえず、夏休みの講習に行ってみて、そこの塾に満足できなかったら、二学期からは他の塾にすればいい」




断定的な口調で言われて、俺はかっとしてしまい、思わず立ちあがった。