俺は驚いて母さんを見つめる。



母さんが声を荒げるのなんて、見たことがなかった。




「………そんな、夢みたいなこと言って。

プロなんて、選ばれたほんの一握りの人しかなれないのよ?


サッカーばっかしてて、プロになれなかったらどうするつもりなの?

涼は成績だって悪くないんだから、ちゃんと塾に行って勉強して、進学校に入っていい大学に入れば安心じゃない。


サッカーは趣味でやればいいのよ」




ーーー趣味?


なに言ってんだよ。



俺にとって、サッカーは趣味なんかじゃない。


ひまつぶしで適当に遊ぶような、そんな生易しい楽なものじゃない。



サッカーがない人生なんて考えられないし、サッカーをしていない俺は本当の俺じゃない。



だから、疲れ切ってへとへとになるまで毎日練習しているのだ。