急な話すぎて、俺は言葉も返せずに母さんを見つめ返す。




「お母さんね、教えてもらった塾に電話して訊いてみたのよ。

そしたら、今からでも夏期講習に参加していいって言ってもらえたの。


週に3日だけ、朝から夕方の6時まで。

ねえ、涼、行ってみない?」




俺は混乱した頭で母さんの言葉を反芻する。




進学ーーー受験ーーー


塾ーーー夏期講習ーーー




どれも、今まで一度も真剣に考えたことのない言葉だった。


自分の身に引きつけて考えたことがなかったのだ。




それを急に投げかけられて、理解がついていかない。



でも、これは良くない流れだ、ということだけは分かった。



頭のどこかで、危険信号が点滅しているのを感じた。




「………ちょっと、待って。

俺、そういうの、考えられない。


だって、サッカーあるし。

朝から夕方まで塾なんか行ってたら、部活いけなくなっちゃうじゃん」