いつものように川沿いの道でボールを蹴っていると、いつの間にか4時間ほど経っていた。



夏の午後の河原は暑くて、ずいぶん汗をかいてしまった。


これ以上やったら倒れるかも、と思って、俺は練習を切り上げる。




うっすらとオレンジ色に染まり始めた西の空を見ながら家に着くと、キッチンから顔を出した母さんに手招きをされた。




「おかえり、涼」



「ただいま。なに、どうかした?」



「うん………ねぇ、涼。またサッカーしてたの?」



「え? うん、そうだけど」




俺がきょとんとして頷くと、母さんは少し困ったように眉を下げて視線を逸らし、再び俺のほうを見た。




「本当にもう、サッカーばっかりして………部活がない日くらい、家にいて勉強すればいいのに」




そんなことを言われたのは初めてだったので、俺はびっくりして母さんを見た。