『ところで、今さらなんだけど

涼のプロフィール画像、すごくきれいな写真だね』




百合が唐突にこんなことを言ってきた。


俺は思わず、「よくぞ気づいてくれた!」と指を鳴らしたくなった。



俺がプロフィール画像として使っているのは、前に住んでいた街の海辺の写真だ。


よく晴れた夏の日で、海も空もあまりにもきれいな青だったから、俺は初めて風景写真を撮った。


それが気に入って、以来ずっとプロフィール画像にしている。



でも、それについて感想を言ってくれたのは、百合が初めてだった。




『ありがとう

前に住んでたとこの海なんだ

気づいてくれて嬉しい』



『そうなんだ

ほんときれい、すごい』



『海、好き?』



『うん、好きっていうか憧れる

見たことないから』




「えっ」と思わず一人で驚きの声を上げてしまった。



洗い物をしている母さんが「なにか言った?」と問いかけてくるくらい。