くっきりとした二重まぶたの大きな瞳。

 きめの細かい肌。

 ほんのりと赤い小さな唇。

 すらりと伸びた首筋。


 くせのないストレートの長い黒髪が、紺色の夏スカートといっしょに、ふわりと風に揺れている。


 真っ青な空から燦々と降ってくる夏の光の中で、彼女だけが浮かび上がっているように、俺には見えた。


 なんて印象的な子なんだろう。



 このまま沈黙しているのも変だと思い、俺はとりあえず話しかけてみることにした。



「君、ここの中学の子?」



 校舎のほうを指差しながら問いかけると、彼女はやっぱり呆然としたような表情のまま、こくりと頷いた。



「そっか。何年生?」



「に………二年生」



 囁くような彼女の答えを聞いて、同級生だ、と思い、俺は少し嬉しい気持ちになる。



「じゃあ、同じ学年だ。よかった。

俺、来週からここの二年に編入するんだ。

よろしくな」



 俺は彼女のほうに手を伸ばした。