一冊目をざっと読み終え、大事なポイントはだいたいまとめ終えたので、俺は次の本に手を伸ばす。



何気なく手に取ったのは、社会科見学の行き先だった特攻資料館が発行しているものだった。



表紙をめくってみると。




「…………あ」




出撃前の特攻隊員たちが、みな同じ飛行服に身を包んで、カメラに向かって微笑む写真が並んでいる。



一枚目の写真は、花の枝を持って明るい笑顔を弾けさせている、若い隊員だった。


写真の下に、名前と年齢も載っている。



それを見た瞬間に、俺は言葉にならない衝撃を受けた。




「………17歳……」




うそだろ、と思う。


17歳って、高校二年生だ。



俺は思わず顔を上げ、向こうのテーブルに座っている三人組の男子高生を見た。


顔を寄せ合ってぼそぼそ喋りながら、一人が手に持つスマホの画面を覗きこんでいる。


ゲームか何かをしているように見えた。


ときどき、噴き出すような仕草をして、小さな声で笑い合っている。




………17歳って、たぶん、あの人たちと同じくらいだ。



特攻隊には、あんなに若い人もなっていたんだ。


その事実が俺の胸を打った。