「みんな、遅いね」




加納さんが不意に口を開いたので、俺は我に返った。




「あー、だよな、もう時間なのに」




俺はスマホを取り出して確かめてみる。


すると、孝一からラインが入っていた。




『ごめん! 今日行けなくなった』




まじかよ、と俺は項垂れる。


気づかなかったけど、一時間以上前に入っていた連絡だった。



理由は書かれていないから分からないけど、急用か、もしかしたらサボりか。


孝一は面倒くさがりなところがあるらしいから、調べ物なんて苦手だと思う。



俺は加納さんにラインの画面を見せた。




「そっか、しょうがないね。

まぁ、三人でも別に問題ないよね?」



「まぁね。有川さんから連絡とか来てない?」




何気なく訊ねると、加納さんは少し困ったような顔をした。




「………ごめん、有川さんの連絡先、知らない」




申し訳なさそうに言われて、俺のほうがもっと申し訳なくなる。


そっか、加納さんて、少し他の女の子たちとは違うから。


ラインでこまめに連絡とったりとかしなさそうだもんな。