夏休みになって初めての日曜日。


今日は、社会科見学の事後学習のことで、調べ物係が集まることになっていた。



せっかくの日曜なのに、とぼやいているやつもいたけど、俺はむしろ楽しみにしていた。


加納さんに会えるからだ。




「宮原くん」




涼やかな声が聞こえて振り向くと、思ったとおり、加納さんだった。



待ち合わせ場所の駅の改札口に立っていた俺を見つけて、声をかけてくれたのだ。




「おはよ、加納さん」



「おはよう。早いね」



「あー、うん、思ったより早く着いちゃった」



「そっか」




加納さんは頷いて俺の隣に立った。


その姿を、俺はこっそり横目で見る。



当たり前だけど、私服だ。


そんなことに、やけにどきどきしてしまう。



加納さんの服装は、ずいぶんとシックだ。


中学生の女の子がよく着ているような、カラフルな柄ものや、短いスカートやズボンではなく、

小さな黒文字がプリントされた白いTシャツに、グレーのスキニージーンズ。


どちらかというと地味なんだけど、加納さんの落ち着いた雰囲気にはよく似合っていた。