三島たちは目を剥いて俺を見ていた。



今まで大人しい転校生だった俺がいきなり豹変したので、驚いているのだろう。


クラスのみんなも息を呑んで俺を見ているのを感じた。



…………でも、そんなことは、どうでもいい。


俺は怒りと侮蔑を込めて、真正面から三島を睨みつけた。




「………負け犬の遠吠えかよ?

男のくせに情けないことすんなよ。


加納さんがそんなことしてるって証拠でもあんのか?

確証もないのに、下らないこと言ってんなよ。


花瓶のことにしても………お前ら、ちょっとは相手の気持ち考えてみろ!

お前らのやってること、むちゃくちゃ情けないし、ダサいよ」




静かな教室に、俺の言葉は、自分でも驚くくらいに大きく反響した。



物音一つしない。


三島たちが引きつった顔で目配せをしている。



こいつら、悪ぶってるけど、大したことないな。


俺みたいなのにビビるなんて。



急に下らなくなって、俺は踵を返して加納さんのところに戻った。



そして、再び机の上をごしごしと拭く。