最低だな、と俺は呆れた。


ガキっぽいし、くだらない。



そのときちょうど祐輔が登校してきて、あっけらかんとした声で


「おはよ、涼!」


と俺の肩を叩いた。



それから、クラスの変な雰囲気に気づいたようで、不思議そうな顔をする。


俺は目配せをして花瓶の席を示した。



すると祐輔は、小さく「またか」と呟いてため息を洩らした。



俺は小声で、



「よくあんの? こういうこと」



と訊ねる。


祐輔はこくりと頷いた。



「最近はあんまやってなかったけどな。

5月くらいまではしょっちゅう………」




誰も何も言わないのかよ、と言おうとして、俺は口を噤んだ。



………俺だって、同じだ。



三島たちに向かって、「クソみたいなことしてんじゃねえよ」と言えたら、どんなに気持ちがいいだろう?


でも、俺にはできない。


あの集団のところに行って、そんなふうに言う勇気は、俺にはなかった。