翌日。


朝、教室に入った瞬間、俺はいつもと違う空気を感じた。



みんな、どこかそわそわした様子で、

何かに気をとられているのに、そちらを見ないようにして、いつもと同じように仲の良い子と喋っている、

みたいな、奇妙なぎこちなさ。



なんだろう、と思いながら俺は自分の席に行って荷物を横に降ろした。



椅子に座り、教科書を整理しながら教室の中に視線を走らせて、俺はその正体に気づいた。



ある一つの机の上に、雑草の生けられた花瓶が置かれていたのだ。



ーーーなんだ、あれ。


俺は不愉快さに眉をひそめた。



中学二年にもなって、あんな小学生みたいな嫌がらせ………。



いったい誰の仕業だろう、と俺は横目で探した。


すぐに分かった。


教室の後ろのほうにたまって、にやにやしながら花瓶のほうを見ている集団。


明るい茶色に髪を染めた三島とかいう奴をリーダーにしている、不良と呼ばれている奴らだ。


クラスでも腫れ物扱いで、みんなが空気のように見て見ぬ振りをしている。