俺は無意識のうちに、加納さんだけをじっと見つめていた。



加納さんは静かに俺を見つめ返していたけど、すっと視線を逸らして、橋口さんを見る。



橋口さんは小さく頷き、有川さんたちのほうを見た。



みんなこくこくと頷く。



橋口さんが俺のほうを見て、小さな声で、



「じゃあ、よろしく……」



と答えてくれた。



それからすぐ、人見知りなのだろうか、恥ずかしそうに顔を背けてしまった。



加納さんが俺を見ている。


どきどきしながら、俺は「ありがとう」と笑って、自分のグループに戻った。




「小川さんたちのグループ、酒井たちと組むみたいだから。

加納さんのとこに声かけてきた」




報告しながら座ると、祐輔が「うん、まあ、いいよ」と答えた。




「ありがとな、涼」



「どういたしまして」