「なあ、誰が行くんだよ?」



「お前、行けよ」



「俺は絶対ムリ! まともに小川と喋ったこともないから!」



「俺だってそうだよ」



「たのむ、祐輔行ってくれ!」



「えー? やだよ!」




しばらく押し付けあいをしているうちに、自然とみんなの視線が俺に集まった。




「………えっ? お、俺?」




思わず訊くと、みんなが一斉に手を合わせた。




「涼、たのむ!」



「俺らヘタレだからムリなんだよ!」



「涼って女の子と喋るの得意そうじゃん」



「こないだも長野たちと仲良さげに喋ってたしさぁ」





頼み込むように言われて、俺は「はぁ?」と返した。




「べつにそんなことねえよ。ただ、転校生だから向こうから興味で話しかけてくるだけで………」



「でも、俺らより絶対できるって!」



「お前らひでえな! 俺、ここ来て一週間だぞ? 鬼畜か!」




俺はぶつぶつと文句を言ってみたが、頼まれると断れない質なので、結局、俺が代表して声をかけに行くことになってしまった。