そこで、俺は無意識のうちに、加納さんの席に目を向けた。


また、俺のことなんかには興味なさそうに、頬杖をついて窓の外を見ているんだろう。



ーーーそう、思ったのに。



加納さんは、机の上に両手を置いて、俺のほうを見ていた。



どくりと心臓が音を立てる。


どくどくどく。



自分でも驚くくらい、胸が早鐘を打つ。



こんなに真正面から目が合ったのは、あの日ーーー俺たちが出会った日以来だ。




俺は身じろぎさえできず、息を止めたまま、加納さんを見つめ返した。


加納さんも、いつもより少し緩んだように見える表情で、俺を見つめている。



世界が止まったような気がした。


周りの音なんて、まったく聞こえない。



二人だけの世界にいるようなーーー