「ねー先生! 涼はどうすんの?」




俺の戸惑いを察したのか、気を利かせて聡太が手を挙げた。


先生は、あっ、というように目を見張り、俺のほうに視線を向ける。




「そっか、宮原は行ってないんだよな。

お前、一週間でずいぶん馴染んだよなぁ。

転校してきたってこと、忘れてたよ」




先生が冗談ぽく言ったので、俺もおどけた口調で、




「先生、ひどいっすよ!

俺、か弱い転校生なんで、ちゃんと面倒見てください!」




と返した。


みんながどっと笑い声を上げる。


スルーされなくてよかった、とほっとする。


クラスの中でちゃんと受け入れられたんだ、という安心感があった。



転校するのは三度目だけど、いまだに慣れない。


とにかく、最初の一週間が肝心なんだ。


クラスに馴染めるかどうか。



今回もちゃんと成功できた、と俺は安堵していた。