俺は海のほうに視線を投げた。
水平線の上にぽっかりと浮かぶ入道雲。
きらきらと揺らめく海面。
白く飛び散る水しぶき。
青く澄んだ空。
彰さんは、あの空の彼方へと飛び去っていった。
そして、きっと………この海に散っていった。
愛する人を置いて行くって、どんな気持ちだろう。
彰さんはどんな思いで飛び立ったんだろう。
ーーー俺は、そんなことをする必要はないんだ。
絶対にそんなことしない。
百合を置いていくなんて。
そんなことをしなくてもすむ世界に、俺は生まれたんだ。
それは、なんて幸せなことだろう?
俺はいつまでも、大事な人のそばにいることができるんだ。
俺は海から視線を戻し、百合を見た。
そして、彰さんには言えなかったことを、噛みしめるように言う。
「ーーー好きです。
付き合ってください」
百合がこくりと頷いた。
完
最後までお付き合いくださりありがとうございました!
こちらに大幅加筆した新版が、ノベマ!で10/19~連載されます。
https://novema.jp/book/n1617017
また、本編『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』もお読みいただけましたら幸いです。
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きらきらと揺らめく海面。
白く飛び散る水しぶき。
青く澄んだ空。
彰さんは、あの空の彼方へと飛び去っていった。
そして、きっと………この海に散っていった。
愛する人を置いて行くって、どんな気持ちだろう。
彰さんはどんな思いで飛び立ったんだろう。
ーーー俺は、そんなことをする必要はないんだ。
絶対にそんなことしない。
百合を置いていくなんて。
そんなことをしなくてもすむ世界に、俺は生まれたんだ。
それは、なんて幸せなことだろう?
俺はいつまでも、大事な人のそばにいることができるんだ。
俺は海から視線を戻し、百合を見た。
そして、彰さんには言えなかったことを、噛みしめるように言う。
「ーーー好きです。
付き合ってください」
百合がこくりと頷いた。
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