俺は海のほうに視線を投げた。



水平線の上にぽっかりと浮かぶ入道雲。


きらきらと揺らめく海面。


白く飛び散る水しぶき。



青く澄んだ空。




彰さんは、あの空の彼方へと飛び去っていった。



そして、きっと………この海に散っていった。




愛する人を置いて行くって、どんな気持ちだろう。



彰さんはどんな思いで飛び立ったんだろう。





ーーー俺は、そんなことをする必要はないんだ。


絶対にそんなことしない。


百合を置いていくなんて。



そんなことをしなくてもすむ世界に、俺は生まれたんだ。




それは、なんて幸せなことだろう?



俺はいつまでも、大事な人のそばにいることができるんだ。




俺は海から視線を戻し、百合を見た。



そして、彰さんには言えなかったことを、噛みしめるように言う。





「ーーー好きです。


付き合ってください」





百合がこくりと頷いた。








最後までお付き合いくださりありがとうございました!

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また、本編『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』もお読みいただけましたら幸いです。