「彰は、あたしの命の恩人で。

いつもあたしのことを優しく見守ってくれてた。


そして、最後は、あたしの幸せを願うって言いながら、出撃していった。


………あたしたちは最後まで、お兄ちゃんと妹みたいな関係だった」




うん、と俺は頷く。



彰さんは20歳。


それだけ年が離れていたら、そういう感じになるのは仕方がないだろう。




百合が俺を見て、今度は少し照れくさそうに笑った。




「………あたし、昨日ね。

今日のことが楽しみで、ほとんど寝れなかったんだ」



「えっ」




俺は驚いて百合を見る。


まさか百合がそんなことを言うなんて。




「海が楽しみだったんじゃないよ?

涼と会えるのが二人でどこかに行けるのが、嬉しくて………。

待ち合わせ場所に行く時も、すごくどきどきしてた」




「まじで………」




こんなの、嬉しすぎて、嘘みたいだ。