ひときわ強い風が吹いて、百合の髪が大きく舞い踊った。



いつも見ていたきれいな横顔。




「………彰はね、自分の気持ち、全然口にしない人だった。

だから、何を考えてるのか分からないことばっかりだった。

時代のせいもあったのかもしれないけど………」




「うん………」




「でも、涼は、ちゃんと言葉にしてくれるから………すごく嬉しかった」




横顔がゆっくりとこちらを向き、俺はどきどきする。




「好きって言葉がもらえて、すごく嬉しかった。


ーーー涼と彰は違うよ。


あたしは、今でも彰のことをすごく大事に思ってるけど、涼に対する気持ちとは違う、と思う」




百合の言葉に、俺の心臓はさらに、破れそうなほどに高鳴っていった。




「ちがうって、どんなふうに………」




おそるおそる訊ねると、百合は言葉を選ぶように目を細めた。